サン・ヴィターレ聖堂のモザイク
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4日目。
日帰りでラヴェンナに行き、モザイク三昧という贅沢な日。昨日のボリューム満点の夕ご飯のおかげで、朝起きても全く空腹感がない二人。とはいえせっかく朝食つきなのだからと、コーヒーだけ飲みに行きました(苦笑)。
駅まではホテルから10分ほど。9:00 すぎボローニャ発のローカル線でラヴェンナへ向かいます。始発から終点まで乗るので気が楽です。ラヴェンナまでは1時間30分ほど。フランスの TER みたいな車両で快適でしたよ〜。
ラヴェンナは古代ローマ帝国時代からすでに重要な海港がある街として知られていましたが、繁栄したのは西ローマ帝国末期。一時は帝国の首都になり、その後も東ローマ帝国の政府が置かれたりした重要な都市でした。ところが、6世紀以降急激に衰退してしまい歴史の表舞台から消え去ったのでした。そのため、繁栄期に建築された見事なモザイク建築が今も鑑賞できるのです。
ラヴェンナのモザイクを堪能したい場合、ほぼ全ての見所は旧市街に集中しているので徒歩でまわれるぐらいですが、ただ一箇所、5km ほど離れた隣町にある教会も見逃すわけにはいかないのです。我々はまずこの教会を訪れることにしていました。
ということで、駅についてまずはバス停探し。ラヴェンナの隣町クラッセ(古代ローマ時代の軍港があったところ)行きのバスです。駅を背にし、ロータリーを渡って左側にあるバス停がそれ。4番か44番のバスに乗ればいいはずなのですが、念のため再確認。ちゃんと時刻表も行き先もバス停に掲示してありました。いいわぁ、北イタリア。
と、そこにバス到着。確認中だったのですが、えぇい、運転手さんに聞いてしまえと乗り込んだところ、「サンタポリナーレ・イン・クラッセ聖堂?」と先に聞いてくれたんですよぉ、何て親切(感涙)。思わず、「ウィウィ(なぜかフランス語、汗)」。切符は直接運転手さんから買えました。
10〜15分ほど走ったでしょうか。バスの車内には私達と地元の方だと思われるおばあさんのみ。ほどなく到着した終点が目的地でした。教会の右裏手みたいな位置でした。「帰りもこのバス停から乗ればいいからね〜」と運転手さんはバスとともに去って行き、おばあさんは我々に「教会はあっちよ」と教えてくれた後、微笑みながら去って行きました。みんな優しいなぁと二人でじーーーん。
(左)教会のあるクラッセ村はこじんまりとした可愛らしいところなんですが、教会の裏手に広がっているため、国道沿いにある教会の前の景色はちょっとさみしい感じ。。。
(右)サンタポリナーレ・イン・クラッセ聖堂の正面
さて、まずは帰りのバスの時間を確認するも、あれま、本数が異様に少ない(汗)。うーむ。あ、確か教会を出て右手に行くとバス停があるって書いてあったような。で、行ってみたら、ありました、もうひとつバス停が!しかもこっちの方が段違いに本数が多いじゃないですか。時刻表を携帯のカメラで撮影後、安心して教会に向かいました〜。
さぁ、お待たせしましたぁ!サンタポリナーレ・イン・クラッセ聖堂の何とも牧歌的なモザイクです。
素っ気ないほどの外観からは想像できない、この色彩!!!黄緑色の綺麗なこと。
中央にいるのは教会の名前の由来でもある、聖アポリナーレ。ラヴェンナの守護聖人です。花咲き乱れる草原で、鳥たちまで集まる中、羊に説教している図です。
無宗教の私ですが、このモザイクには胸キュンでした(あ、古いですね、汗)。ものすごく落ち込んでいる時にこんな心温まる教会が近くにあったら素敵だろうなぁ。
去りがたいほどの魅力ある教会でしたが、バスの時間も近づいて来たのでバス停に。ほぼ時刻表通りにバスが来て、無事にラヴェンナ駅まで戻ってきました。
さ、ここからは徒歩での観光。まずは、サン・ヴィターレ聖堂とその敷地内にあるガラ・プラキディア霊廟へ。
駅前は人通りも少なく、「ラヴェンナってさびれているのかなぁ」と思っていたのですが、街の中心に行くに従ってにぎやかになってきました。古い街は駅が町外れにあるからなんですよね。
こちら、ラヴェンナの中心地、ポポロ広場。ちょうどチョコレートの祭典の真っ最中だったようです。
サン・ヴィターレ聖堂もガラ・プラキディア霊廟も、外観はものすごぉく地味です。
(左)サン・ヴィターレ聖堂
(右)ガラ・プラキディア霊廟
が、中に入ると、その華麗なモザイクに声を上げずにはいられません。まずは、サン・ヴィターレ聖堂。
不思議な空間。奥がモザイク部分。
こちらがそのモザイク部分。上下左右、床に至るまで、見渡す限りぜーんぶモザイクです(驚)。
ここで有名なのは、東ローマ帝国の皇帝ユスティニアヌス1世とその皇妃テオドラのモザイクです。
私の世界史の教科書では、ユスティニアヌス1世の肖像画はこのモザイクでした。本物が見られるなんて、感激!
踊り子から皇后になったテオドラ。ユスティニアヌス帝の一目惚れだそうですよ。それにしてもこのアクセサリの見事なこと!!
続いて、同じ敷地内にあるガラ・プラキディア霊廟。ガラ・プラキディアは西ローマ帝国皇帝の娘なのですが、あろうことかその敵であった蛮族の王にさらわれ、その王の弟と恋に落ちた女性です。後に息子を西ローマ帝国の皇帝に擁立しました。
とても小さい建物なんですが、内部はこれまた上から下までモザイクです。こちらは水を飲む鹿。
天井を一面覆っていた、深い深い紺青色のモザイク。まるで星空の下にいるような不思議な錯覚を覚えました。
いやはや、ラヴェンナのモザイクの凄さに呆然。私が今までに見たモザイクとは段違い。まるで、小学生の頃色つきの砂で描いた絵のような細かさです。どれほどの手間と時間をかけているのでしょう。
この後に寄った国立博物館の予想外の大きさに多少うんざり+腰を痛めながらも、まだまだモザイク三昧の一日は続くのであります。
あ〜、いつにも増して長くなってしまいました。。。次回は、ラヴェンナ観光後編です。