【5日目】
サンタンジェロ → バチカン市国(サン・ピエトロ寺院、バチカン美術館)
こうやって書くと少ないですねぇ。でもね、ウチにはこれでも「ちょっと詰め過ぎかなぁ」だったんです。何たってくせ者のバチカン美術館が入ってますから(汗)。できれば一日まるまるバチカン美術館が理想なんですが、バチカン美術館は、朝一番がものすごく混んでいると聞いていたので、14時頃に行こうかなぁぐらいに考えておりました。
テヴェレ河畔に建つサンタンジェロ。
この日は快晴で気持ちいいことこの上なし。
というわけで(笑)、まずは屋台で買ったパニーノとビールで屋外ランチ!
サンタンジェロ、元々はハドリアヌス廟。ローマの初代皇帝アウグストゥス帝が建てたアウグストゥス廟が一杯になりつつあったのを受けて、ハドリアヌス帝が建てた皇帝(とその家族)たちのための陵墓が紀元です。
以前から知識として、このハドリアヌス廟が、時の経過の中で要塞として使われるようになったことは知っていたんですが、それにしてもあまりにも素っ気ないというか要塞そのもの、っていう見た目が、円形っていう形は別として(笑)、ハドリアヌス帝のイメージが結びつかなかったんです。
そしたら、元々は ←こーんな感じだったんですって(例の before-after ガイドブックより)。
これなら納得。
今回のサンタンジェロ詣での目的は、ずばり、ハドリアヌス帝のお墓参り(←えぇ、大真面目です)。
古代ローマは火葬だったとはいえ、墓石ぐらいは内部に残っているかなぁと思っていたのですが、残念ながら何もありませんでした(涙)。ちなみに建物内部は写真不可です。
要塞として使われるほどですから、目と鼻の先にある教皇庁が目を付けないはずはなく(苦笑)、実際、回廊でつながっていて、「いざ」という時は教皇が避難しにきていたんですよ。
↓ この写真で、左上のドームがバチカンのサン・ピエトロ大聖堂。右下に停まっている赤いバスのすぐ右横の壁が、秘密の回廊(見えるけど、笑)。ここを教皇が走ってきていたらしいです。
サンタンジェロからバチカンまでは徒歩で。ムッソリーニが作った大通りをすすんでいきます。
ベルニーニが考えた仕掛けは、住宅が密集した細い路地を抜けるといきなり視界が開け、サン・ピエトロ広場が目の前に広がり、サン・ピエトロ大聖堂の堂々とした姿が現れるというもの。
そういえば金閣寺や桂離宮でも同じような仕掛けがありますよね。この仕掛けの方が確かにバロック的だろうなぁ、ねぇ、ムッソリーニさん。。。
さてさてやってきました、バチカン市国。翌日に行われるミサの会場が設営されていて、サン・ピエトロ広場&大聖堂共に真ん中部分が通れない状態でした。
サン・ピエトロ広場をぐるりと囲む柱廊が美しいですよね。ベルニーニの設計だそうです。ちなみに、この柱廊の上に飾られている彫像(写真だと小指の爪ほどの大きさですが)、一つの高さ、何と3メートル以上(驚)。
ここで、我々、何の疑いもなくサン・ピエトロ大聖堂に入って行ったのです。ちょうど14時ぐらいで、「計画通り〜!」なんて思いながら。
サン・ピエトロ大聖堂の内部は、さすが総本山、果てしなく大きいのに空しい大きさは感じません。「どうだ、総本山の凄さ!」みたいな迫力がビシビシ。好き嫌いとかを超えて圧倒される感じです。とはいえ、柱なしで、真ん中にこれだけの巨大な空間を設けるってすごいですよね?
どこをとっても手が込んでいる様に、京都西本願寺の
日暮らし門 を思い出しました(ちょっと規模が違いますかねぇ)。
説明不要なぐらい有名なミケランジェロのピエタ。
静謐で優雅で気品があって、ミケランジェロの作品の中で一番好き。15年前と同じ、見つめていると不思議と穏やかで静かな空気に包まれました。たとえ、どんなに騒々しい人混みに囲まれていたとしても。
残念ながら、翌日のミサの準備のため、聖堂の奥には行けず。ミケランジェロ設計のクーポラとか見たかったんだけどなぁ。私的なもう一つの目玉、ベルニーニの天蓋は拝んで参りました。
この天蓋、高さ29m。こんなに柔らかそうなのに青銅製。青銅が足りず、パンテオンに使われていた青銅まで溶解して使用したらしいですよ。。。
↑ 天蓋部分の前後に紋章みたいなのがかかってるの分かるかなぁ。その一つが3匹の蜂マークなんですよ。そう、
2日目 に行ったバルベリーニ宮でみたあの家紋。
なぜって、この天蓋の製作を依頼した教皇がバルベリーニ家出身のウルバヌス8世だからなんです。
一通り大聖堂内部を見終わり、さて、バチカン美術館に行こうとするも。
あれ?どこから行くんだろう。。。
そうなんですよ、私、バチカン美術館はサン・ピエトロ大聖堂内部から直接行けると勘違いしていたんです。実際は、大聖堂を出て、バチカン市国の城壁沿いに延々と歩いた先にあるんです(涙)。
あぁ、大きなる勘違い。
知ってたら、大聖堂なんて(失礼)、後回しにしたのにーーーーー!!!!
軽く1km はあったと思います。バチカン美術館の入り口に到着したとき、すでに15時すぎ。目論見通り(?)、全く並ばずにすんなり入れましたが、18時までですからねぇ、たった3時間弱しかない(涙)。バチカン美術館って、実はバチカン美術館
群 なんですもの。とほほ。
プラッチョ・ヌオーヴォ。
キアラモンティ美術館ともに古代彫刻びっしりで見ごたえ満点(でも空いてたなぁ、何で?)。
展示室のインテリア&装飾が、展示品とぴったりあっていてそれはそれは素敵な空間。
代わって、ピノ・クレメンティーノ美術館。べルべデーレの中庭という八角形の空間には、教科書に載っているような古代彫刻の名品が惜しげもなく置かれています。
左)ラオコーン 右)アポロン(西日が。。。)
私がギリシャ・ローマの彫刻が好きなのは神様や皇帝まで人間くさいからなんですが、そんな一例を一つ。この日見たものの中で一番気に入った彫刻:シレノス。
この何とも言えない悲哀、「あー、こうやってまたお酒飲んで酔っぱらっちゃうんだよなぁ。でも止められないんだよなぁ。」っていうボヤキが聞こえてきそうじゃないですか!
こちらは、コンスタンティヌス大帝が娘のために作らせた棺。
この石(斑岩)、あらゆる遺跡で見ました。
古代でも既に十分貴重だったようですが、今ではすっかり採掘し尽くされてしまったそうで、1kg あたり数万ユーロだそうです(驚)。
ルーヴルもすごいですが、バチカンもすごい。貴重な所蔵品があまりにたくさんある上、その所蔵品にまったくひけを取らない館内、段々感覚が麻痺してきます。
「わぁ、これこそイタリア美術だぁ」という感じの、華やかな色彩に溢れたこの部屋は、何とお土産売り場でしたよ。
もう何が何だか分かりません。
思うは、すごいなぁバチカン(呆)、のみ。
色がこんなに使われているのに、どぎつい感じがしないのが本当に不思議。絵の具をひっくり返したように華やかで豪華絢爛なのに、軽やか。これこそイタリア美術なのかなぁ。
壁には、恐らく教皇庁管轄下の地域の地図が描かれていました。
やっぱりコルシカは、教皇庁管轄だったのねぇ。
近いもんねぇ。。。
←この写真だと分かりづらいですが、かなり細かく都市名が記入されてるんですよ。
試しにコルシカ地図を部分的にズームしてみると。。。ほら、この通り。
この後、名高いラファエロの間へ。かの有名な『アテナイの学堂』です。
が、正直ピンと来ない。15年前に来た時はえらく感動した覚えがあるのに。
ルーブルの『美しき女庭師』とかピッティ宮殿にある聖母子像や女性像は今でもすごく好きなのですよ。好みが代わったのかしら。。。
首をひねりながら、いよいよ最後はシスティーナ礼拝堂。言わずもがなの、ミケランジェロの代表作です。
ここでも、あれ??
天井の大きさ、描かれている人の数などを考えるに、これを一人で描いたミケランジェロの労力には感服しましたが、正直あんまり感慨がなく。。。というか、人間がうようよしていてちょっと好みじゃないかなぁ(失礼千万)。
あれれ、おっかしいなぁ、前回は大感動の嵐だったのに。
そこで初めてシスティーナ礼拝堂を見る旦那さんの反応を横目でちらっと確認したところ、どうも同じ感じ(爆)。
今の我々の気分じゃなかったんだね、きっと。そうだそうだ。
残念ながら、ピナコテーク(絵画館)はすでに閉まっていて辿り着けず。それでも十分堪能したおかげで腰が痛い上に疲労困憊。二人で休憩しつつふと見ると、館内のお土産屋さんの横に「バチカン郵便局」の文字。
おーーーー、絵はがきを買って日本の家族に出そう!
考えることはみな同じようで、あちらこちらではがきを書く人たちが。ウチも書きましたよぉ。悲しいほど文字がふにゃふにゃでしたけど。
その後、バスでナヴォーナ広場方面に向かおうとするも、バスが来ず、仕方なく歩いて乗り継ぎ先のバス乗り場まで。その間追い越されませんでしたからねぇ、あはは。。。
そんなこんなで目的地に着いた時には、ちょうど夕食どきの19時半ごろ。前日に行くも満杯で入れなかったお店に再挑戦。運良く入れましたぁぁ♬
私が頼んだのは。。。
左)アーティークチョークのラビオリ 右)ローマ風内臓料理
デザートはあんまり惹かれなかったので、またしても先日のジェラート屋さんに。こっちの方が安くて美味しいしね!
ホテルまでの帰りのバスですが、40分寒空で待った教訓を元に、その次の日から経路を変えたのですよ。ホテルまで10分ほど歩くけれど、始発から乗れる路線を使うことにしたんです。そうすれば、発車まで車内で待てるかなぁと思って。
これが大正解。車内は暖かいので、発車まで(結構)待つことになってもへっちゃら〜。おほほ。
素晴らしい美術品をたくさん鑑賞して、美味しいもの食べて、「今日もいい一日だったねー」と大満足でホテルに帰りました(単純、笑)。